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C04.日本で使用されている美容医療薬剤の詳細リストと解説V1.0

C04.日本で使用されている美容医療薬剤の詳細リストと解説V1.0

スキンケア・美白目的の薬剤

トレチノイン(レチノイン酸)

商品名(国内流通名): 一般に「トレチノイン外用」と呼ばれ、特定の国内製品名はなくクリニックで調剤されます。
有効成分名: トレチノイン(全反型レチノイン酸)。
使用目的・効能: 強力なレチノイド(ビタミンA誘導体)で、皮膚のターンオーバー促進とコラーゲン産生促進作用によりシミ・肝斑の改善、微小なシワの軽減や肌質の改善に用いられますbeauty.kasuga-cl.jphifuka-eigo.com。ニキビ治療薬としても米国FDA承認実績があり、毛穴詰まりの改善や皮脂抑制作用からニキビ・ニキビ跡治療にも使われていますbeauty.kasuga-cl.jp
供給形態: 外用クリーム(0.025%など低濃度から処方)。夜間塗布する外用薬です。国内では治療用医薬品として市販されておらず、医療機関が院内製剤または輸入原料で調剤して処方します。
おおよその販売価格(仕入価格): 原料粉末からの院内調剤コストは数百円程度/本ですが、患者提供価格は濃度や容量によりますが5g~10gで2,000~5,000円程度が目安です(クリニックにより異なります)。
国内承認の有無: 未承認薬(日本では美容目的どころか一般皮膚科用途でも未承認hifuka-eigo.com)。※急性前骨髄球性白血病向けの経口レチノイン酸療法は承認されていますが、外用治療薬としての承認はありません。
その他: 作用機序は核内受容体を介し表皮の細胞増殖・分化を促進することで、古い角質を剥離して新しい皮膚再生を促しますbeauty.kasuga-cl.jp。その結果メラニンを含む表皮細胞の排出が早まり、シミを薄くできます。またコラーゲン生成が高まることで小じわ・たるみ改善効果もありますbeauty.kasuga-cl.jp。副作用として皮膚の赤み・乾燥・皮剥けがしばしば起こり、一時的に肌が敏感になりますhifuka-eigo.com紫外線感受性が増すため使用中は高SPFの日焼け止めが必須ですhifuka-eigo.com。妊娠中・授乳中は禁忌です。また3か月使用後は1か月休薬するなどの指導も行われますbeauty.kasuga-cl.jp。トレチノイン外用はハイドロキノンとの併用で相乗効果があり、シミ治療では両剤をセットで処方することが多いですbeauty.kasuga-cl.jp。処方時は患者に副作用対策(保湿の徹底や徐々に慣らす使用法)について十分説明し、医師の管理下で使用してもらう必要があります。

ハイドロキノン

商品名(国内流通名): 特定の製品名はなく、ハイドロキノン軟膏◯%という形でクリニック処方されます(4~5%濃度クリームが一般的)。
有効成分名: ハイドロキノン(ヒドロキノン)。
使用目的・効能: 非常に強力な美白剤
で、メラニン生成を抑制し既存の色素沈着を薄くする作用がありますbeauty.kasuga-cl.jpシミ・肝斑、炎症後色素沈着、そばかすなどの改善に用いられ、将来的なシミ予防効果も期待できますbeauty.kasuga-cl.jp。皮膚科領域では長らく最も有効な外用美白薬として位置付けられています。
供給形態: 外用クリーム(4%前後の濃度で院内製剤)。夜間塗布が推奨され、患部に綿棒で局所的に塗ります。光と熱に不安定なため冷蔵保管が必要ですbeauty.kasuga-cl.jp
おおよその販売価格(仕入価格): 原料粉末自体は安価で、院内調製コストも数百円/本程度ですが、患者提供価格は5gで1,000~3,000円前後が目安です。安定性の問題から少量ずつ処方されます。
国内承認の有無: 未承認薬(日本では医薬部外品では2%以下配合製品のみ認可。4%濃度など治療目的の濃度製剤は未承認hifuka-eigo.com)。医師の裁量で自由診療として使用されます。
その他: 作用機序はチロシナーゼ酵素を阻害しメラニン合成を抑制すること、さらにメラノサイト(色素細胞)の数自体を減少させることですbeauty.kasuga-cl.jp。これにより新たなシミ発生を予防し、既存の色素沈着を徐々に薄くしますbeauty.kasuga-cl.jp。効果は連日使用で4~8週間程度で現れ始めます。副作用として刺激性があり、肌質によっては発赤やかぶれを起こすことがありますbeauty.kasuga-cl.jp。そのため使用前に目立たない部位でパッチテストが推奨されますbeauty.kasuga-cl.jp。長期連用は避けるべきで、通常連続使用は半年程度までとし、その後は休薬期間を設けますbeauty.kasuga-cl.jp。日中の使用は推奨されず、使用中は紫外線対策が必須ですbeauty.kasuga-cl.jp。なお、ハイドロキノンは日本での公的承認はないものの世界的にシミ治療の標準外用薬であり、高濃度市販が制限されている日本でも医師の管理下で幅広く使われていますhifuka-eigo.com

トラネキサム酸(Tranexamic Acid)

商品名(国内流通名): トランサミン®(内服錠・注射剤、第一三共)など。一般名で「トラネキサム酸錠○mg」としてジェネリックも流通。市販薬では肝斑治療薬「トランシーノ®II」(第一三共ヘルスケア、トラネキサム酸750mg配合の内服薬)が有名です。
有効成分名: トラネキサム酸。
使用目的・効能: 本来は抗プラスミン薬(止血剤・抗炎症剤)ですが、肝斑(かんぱん)や色素沈着の改善、美白目的で広く使われます。メラニン生成の抑制および炎症の鎮静作用により、肝斑の内服治療薬として高い有効性が臨床的に証明されていますfuna-biyou.com。シミ全般の色むら改善にも用いられ、肌のトーン均一化に寄与します。「抗炎症作用で新たな色素沈着を防ぎつつ、既存の色素沈着を薄くする頼れる美白治療薬」ikegaki-hifuka.comと評価されています。即効性はありませんが8~12週の継続内服で着実な改善が期待できますikegaki-hifuka.com。副次効果として花粉症や蕁麻疹の症状緩和、口内炎抑制などもあります。
供給形態: 内服薬(錠剤 or カプセル)が主流です。通常1回250mg~500mgを1日2~3回内服します(肝斑治療量としては1日合計750~1500mg程度)funa-biyou.com。肝斑治療目的で局所皮内注射する方法(トラネキサム酸局所注射)も一部で行われていますshinagawa-skin.com。また美白点滴にビタミン類と混合して点滴投与するケースもあります。
おおよその販売価格(仕入価格): 内服錠はジェネリックが安価に出回っており、1錠あたり十数円程度と安価です。医療機関の仕入れでも1か月分(90錠程度)で数百円~千円以下と低コストで、患者への自費提供価格は1か月分2,000~3,000円前後が多いですaimed.jp。肝斑治療の市販薬「トランシーノII」14日分(28錠)が税込4,400円程度なので、医療機関で処方する方が割安になります。注射製剤は「トランサミン注射液250mg/5mL」があり、仕入価格は1アンプルあたり数十円程度です。
国内承認の有無: 承認薬(トラネキサム酸自体は1960年代から止血薬や抗炎症薬として承認済み)。美容領域では肝斑の内服治療について2018年に厚労省が適応追加承認していますaimed.jp。したがって肝斑治療目的の内服は正式適応です。ただし肝斑以外の美白目的(シミ・そばかす改善など)は保険適用外の自由診療となり、また皮内注射・点滴での使用も適応外ですtokyoderm.com
その他: 作用機序の中心は抗プラスミン作用によります。トラネキサム酸はプラスミン(線維素溶解酵素)に結合してその働きを阻害しますfuna-biyou.comfuna-biyou.com。紫外線などで活性化したプラスミンはメラノサイトを刺激してメラニン産生を促進しますが、トラネキサム酸によりこの経路が遮断され、過剰なメラニン生成が抑えられますfuna-biyou.com。加えて炎症性サイトカイン(プロスタグランジンやIL-1など)の産生を抑制し、紫外線や摩擦による炎症反応を軽減することで、炎症誘発性のメラニン増加も防ぎますfuna-biyou.com。さらにメラニンを作る色素細胞から表皮細胞へのメラニン輸送を抑制する作用も報告されており、全体として色素沈着を多面的に抑える効果がありますfuna-biyou.com。副作用は比較的少なく安全性の高い薬ですが、稀に消化器症状(食欲不振・吐き気)や皮疹が出ることがありますikegaki-hifuka.com。血栓形成傾向のある人には注意が必要です(止血目的の薬であるため)。肝斑治療では約80%以上の患者に有効との国内報告もありfuna-biyou.com、忍容性も良好なことから、美白治療の基幹薬の一つとなっています。

アスコルビン酸(高濃度ビタミンC)

商品名(国内流通名): 「ハイ・C®」「シー・メジン®」など注射用ビタミンC製剤、または輸入の高濃度ビタミンC点滴用製剤(米国Mylan社製「アスコルビン酸注射」など)を使用。
有効成分名: アスコルビン酸(ビタミンC)。
使用目的・効能: 美白・美肌効果、抗酸化作用、コラーゲン生成促進を期待して用います。ビタミンCはメラニン生成を抑制し、色素沈着を薄くする効果があるためシミ・くすみの改善に寄与しますbeauty.kasuga-cl.jp。またコラーゲン合成に必須な成分であり高濃度投与により肌のハリ改善や小じわ軽減、抗酸化作用によるアンチエイジング効果も期待されますbeauty.kasuga-cl.jp。美容目的では高濃度ビタミンC点滴として、疲労回復や免疫力向上、抗がん補助療法などと合わせて提供されることが多いですbeauty.kasuga-cl.jp
供給形態: 静脈点滴による大量投与が一般的です。医療機関で12.5g~25gといった高容量のビタミンCを点滴します(経口では吸収に限界があるため)beauty.kasuga-cl.jp。点滴時間は30~60分程度。点滴前にG6PD欠損症の有無を確認する血液検査が必要ですbeauty.kasuga-cl.jp(G6PD欠損症では高容量VitCにより溶血発作を起こすリスクがあるためbeauty.kasuga-cl.jp)。外用薬としてビタミンC誘導体配合ローションを処方する場合もありますbeauty.kasuga-cl.jp
おおよその販売価格(仕入価格): 院内で使用する注射用ビタミンC製剤(例えば25g分)コストは1回あたり数百~千円程度です。患者への自由診療価格は1回あたり5,000~15,000円程度と設定するクリニックが多いです(容量による)。ビタミンCローションは院内製剤で50mL数百円程度の原価ですが、販売価額は数千円になることがあります。
国内承認の有無: 一部承認薬(ビタミンC注射液自体は国産製剤がビタミンC欠乏症や壊血病治療用に承認済み)。しかし高濃度点滴療法としての美容目的使用は適応外です。またビタミンC誘導体配合外用剤も医療機関専売のものがありますが、大半は医薬部外品扱いです。
その他: 高濃度ビタミンCは強力な抗酸化物質として細胞の酸化ストレスを軽減し、メラニン産生を初期段階で阻害してシミを予防しますbeauty.kasuga-cl.jp。さらにコラーゲン合成の補酵素として働き真皮のコラーゲン生成を促進するため、肌のハリ・弾力アップにつながりますbeauty.kasuga-cl.jp。美白効果・美肌効果に加えて、免疫力の向上や抗疲労効果、抗炎症作用によるニキビ改善など全身的な美容・健康メリットがありますbeauty.kasuga-cl.jp。副作用は頻度こそ低いものの、急速投与での血糖値測定への干渉(高濃度VitCは血糖計に誤検出される)、静脈炎、稀にアレルギー反応などがあります。腎機能の悪い患者では大量投与により腎結石リスクが指摘されており注意が必要ですbeauty.kasuga-cl.jp。また上述のG6PD欠損症では溶血を起こす可能性があるため必ず前もってスクリーニングを行いますbeauty.kasuga-cl.jp。外用のビタミンC誘導体ローション(10%前後)も美容皮膚科で処方され、メラニン抑制や抗炎症、毛穴収縮作用でニキビ・シミ治療の補助に使われますbeauty.kasuga-cl.jp

グルタチオン(白玉注射・白玉点滴)

商品名(国内流通名): 「タチオン注射用」など医科向け注射剤は存在しますが、美容領域では白玉注射白玉点滴という俗称で呼ばれます(※「白玉」は肌が白く透き通ることをイメージした俗称)。
有効成分名: グルタチオン(還元型グルタチオン、グルタミン・システイン・グリシンのトリペプチド)。
使用目的・効能: 全身の美白・美肌目的に使用されます。グルタチオンは強力な抗酸化作用とメラニン生成抑制作用を持ち、点滴により体の内側から肌を白く透明感のある状態に導くとされていますbeauty.kasuga-cl.jp。具体的にはシミ・肝斑の予防改善、くすみの解消など美白効果のほか、肌荒れ改善や肝機能サポート、解毒作用による抗老化効果も謳われていますbeauty.kasuga-cl.jp。東南アジア等で美白点滴として人気が高まり、日本でも美容クリニックで自由診療メニュー化されています。
供給形態: 静脈注射または点滴。1回あたりグルタチオン600mg~1200mg程度を生食などに混和し点滴静注しますkireipass.jp。点滴時間は約15~30分。週1-2回の頻度で5~10回継続するプランが推奨されることが多いですtsutsui-biyo.com。内服用のグルタチオン製剤(タチオン錠など)もありますが、経口吸収率が低いため美白目的では点滴が主流ですbeauty.kasuga-cl.jp
おおよその販売価格(仕入価格): 治療に使う還元型グルタチオン製剤の原価は1回数百円程度です。例えばタチオン注射用100mgアンプルは数十円~100円前後で、600mg使用でも薬剤原価は数百円です。自由診療での患者提供価格は1回あたり2,000~5,000円程度が多く、複数回コース割引を設定するクリニックもありますbeauty.kasuga-cl.jp
国内承認の有無: 承認薬(適応外使用)。グルタチオン製剤自体は「タチオン®錠/注射液」として肝機能障害や薬物中毒時の解毒補助などの目的で承認済みです。しかし美白目的での使用は適応外の自由診療となります。
その他: グルタチオンは体内(特に肝臓)で産生される抗酸化物質で、細胞内で活性酸素を中和し解毒する役割を担いますbeauty.kasuga-cl.jp。美白作用のメカニズムは、メラニン合成経路においてチロシナーゼ活性を抑制することや、メラニン前駆体の産生を還元的に阻害することによります。その結果シミの原因となるメラニンの産生が減少し、肌の明るさが増すと考えられていますbeauty.kasuga-cl.jp。加えて強力な抗酸化作用により肌細胞の酸化ダメージを軽減し老化予防に寄与しますbeauty.kasuga-cl.jp。実際、グルタチオン点滴を定期的に半年程度継続することで全身の肌がトーンアップするとの報告がありますbeauty.kasuga-cl.jp。副作用は少ないですが、まれに注射部位の痛み・発赤、大量投与時の一時的吐き気血圧低下が報告されています。重篤な副作用は極めて稀です。なお、美白効果持続には継続投与が必要で、点滴を中止すると効果は数週間~1か月程度で薄れるとされていますdahlia-gsc.com。白玉点滴は国内未承認治療のためエビデンスは限定的ですが、多くの患者が美容目的で利用しているのが現状です。

プラセンタエキス(ヒト胎盤由来)

商品名(国内流通名): ラエンネック®注射剤、メルスモン®注射剤。いずれも厚労省承認のヒト胎盤由来抽出エキス製剤です。美容クリニックでは総称で「プラセンタ注射」と呼ばれます。
有効成分名: ヒト胎盤抽出エキス(各種アミノ酸・ペプチド・成長因子・ビタミン等を含む混合物)。
使用目的・効能: 美肌効果、抗加齢、疲労回復、ホルモンバランス改善など多岐にわたります。胎盤には細胞増殖因子や栄養素が豊富に含まれるため、注射により肌のハリ・潤いを向上させたりくすみや肌荒れを改善する効果が期待されますbeauty.kasuga-cl.jpbeauty.kasuga-cl.jp。また更年期症状の緩和、肝機能改善、免疫力向上、肩こりや冷えの改善など全身的な効能も報告されていますbeauty.kasuga-cl.jp。美容領域ではアンチエイジング注射として人気が高く、「若返り」「美容と健康の両面に効く注射」として自由診療で広く使われています。
供給形態: 筋肉注射または皮下注射。普通は上腕や臀部に1A(アンプル)2mLを週1~2回ペースで投与します。効果実感に応じ継続投与します。静脈点滴に混合して投与するクリニックもあります。ラエンネックとメルスモンの違いは製造元と適応症(ラエンネックは肝機能改善、メルスモンは更年期症状改善)ですが、美容目的では両者ほぼ同様に扱われます。
おおよその販売価格(仕入価格): ラエンネック製剤の卸価格は1アンプルあたり200~300円程度と推測されます。自費診療では1アンプルあたり1,000~1,500円程度で提供する施設が多いですjun-cl.jp。2A同時投与する場合は2,000~3,000円程度になります。保険適用下では1Aあたり数百円の計算です。内服プラセンタ(ラエンネックP.O.)もありますが高価です(1ヶ月2万円前後)。
国内承認の有無: 承認薬(保険適応あり)。ラエンネックは「慢性肝疾患における肝機能の改善」、メルスモンは「更年期障害・乳汁分泌不全」の適応でそれぞれ医薬品承認されていますshop.takamiclinic.or.jp美容目的での使用は適応外ですが、厚労省指針により自由診療での使用が容認されています(使用時は患者に未承認用途であることを説明する必要があります)。
その他: プラセンタにはEGF・FGFなど各種成長因子、サイトカイン、アミノ酸類が含まれ、細胞の新陳代謝促進やコラーゲン産生促進を通じて肌の若返りに寄与しますtkc110.jp。実際、定期的なプラセンタ注射で肌のしっとり感や弾力向上、シミ・くすみの軽減が経験的に報告されています。また自律神経や内分泌調整作用もあり、更年期の不定愁訴の改善や睡眠の質向上など全身的コンディションを整える効果もありますbeauty.kasuga-cl.jp。副作用は少ないですが、極まれに注射部位の発赤・疼痛、ごく稀にアレルギー反応が報告されています。ヒト由来製剤のため一度でも注射すると献血制限(以後終生献血不可)が課せられる点に注意が必要です。総じてプラセンタ注射は即効性は穏やかながら体調と肌質の底上げに役立つ補助的治療として、美容クリニックで広く利用されています。

アンチエイジング・美容皮膚領域の薬剤

ボツリヌス毒素製剤(ボトックスビスタ 等)

商品名(国内流通名): ボトックスビスタ®注用(アラガン社)、その他未承認品としてニューロノックス(韓国Medytox社)、ボツラックス(韓国Hugel社)、ゼオミン(独・メルツ社)等の輸入品が流通(正規にはボトックスビスタのみが承認)。
有効成分名: A型ボツリヌストキシン(ボツリヌス毒素タイプA)。
使用目的・効能: 表情ジワの改善(シワ取り注射)が主な目的です。額や眉間、目尻など表情筋の動きでできるシワに対し、筋肉を弛緩させることでシワを目立たなくしますshinagawa-skin.com。またエラに注射して小顔効果(咬筋の肥大縮小)、ガミースマイルや口角の調整、首の縦ジワ改善、わきの多汗症抑制(エクリン汗腺への作用)など適用は多岐にわたりますknot-clinic.com。美容皮膚科では即効性の高いシワ治療として定番で、適切に行えば数歳若返った印象を与えることができます。効果持続は3~6か月程度で、定期的な追加注射が必要ですyoshiki-clinic.com
供給形態: 注射剤(筋肉内注射)。真空乾燥の毒素製剤を生理食塩水で所定濃度に希釈し、細い針で標的筋肉に直接注射しますyoshiki-clinic.com。1部位あたり4~20単位程度、額全体であれば合計20~30単位程度など、部位毎に投与単位量を調整します(製剤は「単位」で效力表示)。一瓶あたりボトックスビスタは50単位入りで、開封後は冷蔵で当日中使用します。
おおよその販売価格(仕入価格): ボトックスビスタ(アラガン社)の正規仕入価格は50単位瓶あたり2~3万円前後と推定されます(クリニックの購入量等で変動)。韓国製ジェネリック毒素は半額以下の価格で入手可能ですが品質差がありますyoshiki-clinic.comyoshiki-clinic.com。患者への自費料金は部位や使用量によりますが、1部位あたり2~5万円程度が相場ですtdhospital.jpbibi-clinic.jp。例えば眉間10単位2.2万円、額10単位2.2万円などの設定例がありますtdhospital.jp。安価なクリニックでは韓国製製剤を用い両エラ100単位4~6万円程度で提供する例もありますcosmedical.jp
国内承認の有無: 承認薬(一部適応)。ボツリヌス毒素製剤としてボトックスビスタ(アラガン社)だけが国内で製造販売承認を取得していますyoshiki-clinic.com(厚労省承認の唯一の製剤yoshiki-clinic.com)。適応は「眉間・目尻の表情シワ治療」ですa-connect.abbvie.co.jp。その他の顔面や美容目的の応用部位(額、鼻根、口角、エラ等)はすべて適応外使用になります。アラガン社以外の製剤は未承認薬であり、品質・安全性の保証が不確かですyoshiki-clinic.com。しかし日本の美容医療では医師の裁量で未承認品も使用可能なため、安価な韓国製製剤を用いるクリニックも存在しますyoshiki-clinic.comyoshiki-clinic.com。初めての患者や安全性重視の場合は承認薬ボトックスビスタの使用が推奨されていますyoshiki-clinic.comyoshiki-clinic.com
その他: ボツリヌストキシンは神経筋接合部でアセチルコリン放出を阻害し、標的筋肉を一時的に麻痺させます。その結果、過剰な表情筋の収縮が緩和されて表情ジワが伸びる仕組みですshinagawa-skin.coms-b-c.net切らずにシワを取る簡便な治療として世界中で普及しており、適切に注射すれば自然な表情を保ちつつシワだけを目立たなくできますks-skin.com。副次的に皮脂腺や汗腺の活動も抑えるため、毛穴の引き締め効果や多汗症改善効果もありますknot-clinic.com。効果発現は注射後2~3日から始まり、1~2週間でピークに達します。持続期間は個人差ありますが約4か月(3~6か月)程度ですyoshiki-clinic.com。繰り返し打つことで持続期間が延長するケースもあります。副作用・注意点: 施術部位の内出血や軽度の痛みは起こりえます。効果が強く出過ぎると眉が下がる・まぶたが重くなる(眼瞼下垂)などの不満が出ることがありますが、これは数週間~数か月で自然に回復します。希釈濃度や注入技術を誤ると効果不足または過剰拡散による副作用が発生しやすいため、熟練した医師による施術が重要です。ボツリヌス治療は簡便ながら繊細な技術で、安全に行えば非常に満足度の高いアンチエイジング治療です。

ヒアルロン酸注入剤(真皮充填用フィラー)

商品名(国内流通名): ジュビダームビスタ®シリーズ(アラガン社:ボリューマXC、ボリフトXC、ボルベラXC等)、レスチレン®シリーズ(ガルデルマ社)など。国内ではアラガン社のジュビダームビスタ製剤がいくつか承認取得済みです。
有効成分名: ヒアルロン酸(架橋ヒアルロン酸ナトリウム製剤)。
使用目的・効能: シワや溝の充填、顔のボリュームアップが主目的です。ほうれい線・マリオネットライン等の深いシワを内側から持ち上げて目立たなくするほか、頬やこめかみのこけ、唇のボリューム、鼻やアゴの形成など輪郭修正にも用いられますtsubaki-grp.com(いわゆる**「美容整形注射(プチ整形)」として人気)。即時に効果が現れダウンタイムも少なく、適量を適所に注入することで若々しくメリハリのある顔貌を作ることができます。効果持続は製剤にもよりますが6か月~1年半程度です。
供給形態: 注射剤(注入用シリンジ)。あらかじめヒアルロン酸ゲルが充填された注射器(1本=1mL入り)を使用し、細い針または鈍針カニューレで皮下・真皮内に注入します。製剤の硬さ・粘度により適した注入層が異なります。注入後は医師がマッサージで形を整えます。局所麻酔薬含有製剤(〇〇XC)も多く、施術時の痛みは軽微です。
おおよその販売価格(仕入価格): ヒアルロン酸製剤は1本(1mL)あたりの仕入価格が
約1.5万~3万円です(製品により異なる。高密度長期持続型は高価)。クリニックの自費価格設定は1本あたり5~10万円程度が一般的です。例えばジュビダームビスタ1本8万円前後、レスチレン1本5~7万円前後など。部位によっては0.5本など少量単位で提供する場合もあります。
国内承認の有無: 承認医療機器に分類されます(医薬品ではなく高度管理医療機器)。アラガン社のジュビダームビスタ®ボリューマXCなど数種類が
厚労省承認済みで、しわ治療用として認可されていますallerganbeauty.jp。一方で未承認フィラーも多数流通し、韓国製やヨーロッパ製の未承認フィラーを使用するクリニックもあります。承認品は安全性審査を経ており品質保証されていますが価格が高めです。未承認品使用時は患者への同意・説明が必要です。
その他: ヒアルロン酸は元々人体の真皮や軟骨に存在する保湿成分で、生体適合性が高く
アレルギーが起きにくい利点があります。注入されたヒアルロン酸はその場で物理的な充填剤としてシワを持ち上げ、また皮膚の水分量を増やしてふっくらとした質感を与えます。時間とともに酵素で分解され、最終的に水と二酸化炭素に代謝され体内から消失します。効果持続は製剤の架橋度や分子量で調整され、浅いシワ用の軟らかい製剤で6ヶ月、深部用の高密度製剤で12~18ヶ月程度持続します。副作用・注意点として、内出血や腫れが一時的に生じることがあります。ごく稀ながら血管内誤注入により皮膚壊死や失明など重大合併症の報告もあるため、解剖を熟知した医師が細心の注意を払って注入する必要があります(万一のための溶解酵素[ヒアルロニダーゼ]も常備)。ヒアルロン酸注入は結果が即時に反映され満足度の高い治療**ですが、施術者のデザインセンス・技術力によって結果が大きく左右されるため、信頼できる医師に施術してもらうことが重要です。

コラーゲンブースター(Sculptra®〈スカルプトラ〉など)

商品名(国内流通名): スカルプトラ®(Sculptra, 米国Galderma社)※日本未承認。かつてニュー・フィル®として一時期承認された経緯あり。
有効成分名: ポリ-L-乳酸(PLLA)。合成高分子(糸や人工骨でも使われる素材)。
使用目的・効能: 肌のハリ・ボリュームロスの改善が目的です。いわゆるコラーゲンブースト注射で、即時的な物理的ボリュームではなく自己のコラーゲン増生による徐々の改善を狙います。加齢で痩せた頬やこめかみ、深く刻まれたシワ・凹みを長期的にふっくらさせることができます。効果発現は緩徐ですが2~3回の施術後に数ヶ月かけてシワが浅くなり、肌に厚みと弾力が戻る特徴があります。効果持続は2年以上と長いです。米国ではHIV脂肪萎縮症の頬凹み治療として承認され、美容用途でも広く使われています。
供給形態: 注射剤(懸濁液注射)。1バイアル中にPLLA微粒子が含まれており、施術前に滅菌水で数時間~前日から膨潤・懸濁させて使用します。これをカニューレや針で皮下深層に扇状に満遍なく注入します。その後、粒子が均一に拡散するよう施術部位を入念にマッサージします(「5-5-5の法則」=5日間・1日5回・5分間マッサージ)。1回あたり1~2バイアル使い、4~8週間間隔で2~3回シリーズ施術します。
おおよその販売価格(仕入価格): 1バイアルあたりの薬剤費は約1.5万~2万円程度と推測されます(海外からの取り寄せコスト含む)。クリニックでの患者料金は1バイアルあたり8~15万円程度と高価です。ただし1度の治療で複数本パッケージ価格を用意することもあります。費用は高いものの効果の持続や広範囲の改善が利点です。
国内承認の有無: 未承認薬(現在)。PLLA注入剤は2009年に「ニュー・フィル®」商品名で日本承認されましたが、その後販売中止となり現在は承認失効しています。したがって美容目的では完全に未承認の自由診療として、限られたクリニックが輸入使用しています。使用時は同意説明が必要です。
その他: スカルプトラ(PLLA)はフィラーのようにその場で容積を補填するのではなく、組織に刺激を与えて周囲の線維芽細胞にコラーゲンを作らせるのが特徴です。注入後数日で水分は吸収され一旦元に戻りますが、数週間後からゆっくりとコラーゲン沈着が起こり皮膚の厚み・弾力が増していきます。自然な若返りが得られる反面、患者・医師双方に即効性の無さへの理解が必要です。副作用として注射部位の腫れ・内出血は一般的ですが、より注意すべきは肉芽腫様のしこりです。皮膚の浅い層にPLLA粒子が残ると肉芽腫や硬い結節を形成するリスクがあり、適切な希釈・十分なマッサージ・浅層に残さない手技が重要になります。また過剰矯正はできないため、効果不足の場合は追加注入で微調整します。効果が出るまでタイムラグがありますが一度得られたコラーゲン増生効果は1年以上持続し、定期メンテナンスで長期にわたり若々しさを維持できるのが利点です。患者にはダウンタイムの少なさと長持ちする点で満足度が高く、**「注射によるリフトアップ」**として認知されつつあります。

カルシウムハイドロキシアパタイト製剤(Radiesse®)

商品名(国内流通名): ラディエッセ®注入剤(米国Merz社)※日本未承認。
有効成分名: ヒドロキシアパタイト(リン酸カルシウム)微粒子(CaHA)を含むジェル。
使用目的・効能: シワの充填や輪郭形成に用います。特に鼻やアゴの形成(プチ整形)ではヒアルロン酸より硬く形状保持力があるためラディエッセが適しています。またこめかみや頬のこけ埋め
にも使用されます。注入直後にボリューム効果を発揮しつつ、数ヶ月かけてコラーゲン産生を誘導するため半年~1年程度効果が持続します。ヒアルロン酸より硬く成形性に優れるため骨様のしっかりしたボリュームアップが可能です。
供給形態: 注射剤(注入用シリンジ)。1本に1.5cc充填されたシリンジで供給されます。これを針またはカニューレで皮下深くに注入し、必要に応じて成形します。麻酔薬は含まれないため、施術時に局所麻酔下で行うこともあります。
おおよその販売価格(仕入価格): 1本(1.5cc)あたりの仕入価格は約3~5万円と推測されます(海外からの輸入コスト込み)。患者提供価格は1本10~15万円程度が相場です。鼻への少量注入など部分施術では0.5本単位設定をするクリニックもあります。
国内承認の有無: 未承認薬。ラディエッセは国内未承認のため、使用する場合は医師個人輸入で対応します。欧米ではFDA承認済みの安全な製剤ですが、日本では未承認のため使用時は未承認製剤である旨の説明と同意が必要です。
その他: カルシウムハイドロキシアパタイトは骨や歯の主成分であり、生体適合性が高く徐々に分解吸収されます。ラディエッセではCaHA粒子がキャリアのジェル中に懸濁しており、注入するとまずジェル成分が容積を確保し、約3ヶ月でジェルが吸収されるまでに周囲にコラーゲンが沈着していきます。その結果、吸収後もコラーゲンによるボリュームが残り効果が持続します。硬さがあるためシャープな造形に向いており、鼻筋形成ではヒアルロン酸より流れにくく高さをキープできます。副作用はヒアルロン酸同様に内出血・腫れがあります。肉芽腫形成のリスクは低いとされていますが、非常に稀に遅発性の硬結報告があります。また血管塞栓リスクもヒアルロン酸同様存在するため注入テクニックは重要です。効果が長持ちする反面、修正したい場合に溶解剤で溶かせない点はデメリットです(ヒアルロン酸のような可逆性はない)。適応を見極めて用いれば比較的少本数で確実な輪郭形成が得られる有用な製剤と言えます。

NMN点滴・その他ビタミン療法

商品名(国内流通名): 特定の医薬品名はなく、「NMN点滴」「高濃度ビタミン点滴」など施術名で提供。NMN製剤は研究用素材を利用。
有効成分名: β-ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)、およびビタミン各種(B群・αリポ酸・グルタチオン等の混合も)。
使用目的・効能: 抗加齢(アンチエイジング)目的の全身ケアです。NMNは体内でNAD+の前駆体となり、細胞のエネルギー代謝やDNA修復を促進して老化現象を遅らせる可能性が注目されています。シミ・シワへの直接効果というより全身の老化予防や活力向上を狙い、肌質の底上げや倦怠感の軽減などの効果が期待されています。一部セレブの利用で話題になり、日本の美容クリニックでも**「次世代点滴療法」として導入が進んでいます。
供給形態: 静脈点滴。NMN点滴では1回あたり125mg~500mg程度のNMNを点滴静注します(所要30~60分)。週1回ペースなどで行います。NMN以外にもビタミンB群・C・グルタチオン・αリポ酸などを組み合わせた
高濃度ビタミンカクテル点滴がアンチエイジング内科で提供されます。
おおよその販売価格(仕入価格): NMN原料は高価で、点滴1回あたり原価数万円と推定されます。患者への提供価格も
1回あたり5~15万円と高額です。高濃度ビタミンカクテル点滴は組成によりますが1回1~3万円程度が多いです。
国内承認の有無: 未承認薬相当(サプリメント扱い)。NMNは食品として市販もされていますが、医薬品成分としては未承認です。したがってNMN点滴は明確には未承認医薬品の使用にあたり、エビデンスも研究段階です。ビタミン類は承認薬ですがアンチエイジング適応は保険外です。
その他: NMNの抗老化作用はマウス実験等で有望な結果が報告されていますが、人への有効性はまだ議論中です。それでも高額にもかかわらず試す人がいるのは、
“細胞から若返る”というコンセプトに魅力を感じるためでしょう。副作用は特段報告されていませんが、点滴中の違和感(発熱感や吐き気)が稀にあります。高濃度ビタミン点滴については先述のとおりビタミンC大量投与などは安全管理下で行う必要があります。これらアンチエイジング点滴は理論上の期待値はあるもののエビデンス蓄積中**の位置付けであり、患者にはその点を理解いただいた上で施術しています。

育毛治療の薬剤

フィナステリド(プロペシア® 他)

商品名(国内流通名): プロペシア®錠(MSD社)、フィナステリド錠「○○」など多数のジェネリック。
有効成分名: フィナステリド。
使用目的・効能: 男性型脱毛症(AGA)の進行抑制・発毛効果が目的です。フィナステリドは5α還元酵素II型を阻害し、テストステロンから強力な脱毛ホルモンDHTへの変換を抑制しますsakurahifu.com。その結果、毛根への有害刺激が減り脱毛の進行を止めて休止毛が成長期に戻りやすくなります。AGAの第一選択薬として広く使用されており、6か月以上の連日内服で約70%に脱毛抑制・改善効果が認められます。薄毛の進行予防および現状維持・わずかな毛量増加が主な期待効果です。
供給形態: 内服薬(錠剤)。標準は1mg錠を1日1回内服です。0.2mg錠もありますが効果は用量依存性のため通常1mgが使われます。毎日継続服用が必要で、効果判定は6ヶ月~1年後に行います。
おおよその販売価格(仕入価格): プロペシア(先発薬)錠剤は1mg×28錠で医療機関仕入約5,000円程度、ジェネリックはその半額以下(28錠2,000円程度)まで低下しています。患者への自費価格は1ヶ月分5,000~8,000円程度が多く、ジェネリック使用で月3,000円台のクリニックもあります。
国内承認の有無: 承認薬(AGA治療薬として承認)。日本ではMSD社が2005年10月に製造販売承認を取得し、同年12月より「プロペシア®」として発売されていますd-clinicgroup.jpsakurahifu.com。現在は多数の国内後発品も承認済みです。適応は男性の男性型脱毛症のみで、女性には禁忌です。保険適用外の自由診療薬ですが、厚労省認可の治療薬のため広告掲示も可能です。
その他: フィナステリド内服により抜け毛の本数が減り、太く長い毛が維持されるようになります。ただし即効性はなく、最低半年~1年は継続して効果判定します。副作用: 約1~2%の頻度で性欲減退・勃起機能低下などの性機能関連副作用が報告されていますd-clinicgroup.jp。これらは中止すれば改善することが多いですが、一部で持続するとの報告(PFS: ポストフィナステリド症候群)があり注意が必要です。肝機能軽度上昇がまれにありますが概ね安全性は高い薬です。服用中は献血制限(男性は1か月、女性は服用禁止)があり注意します。女性や小児は禁忌であり、特に妊娠可能な女性は触れないよう取扱いに注意します。AGA治療ではフィナステリドを長期継続することが重要で、効果維持のために何年にもわたり服用するケースが多いですsakurahifu.com。途中でやめると数か月で元の進行状態に戻るため、患者には継続の重要性を説明します。

デュタステリド(ザガーロ® 他)

商品名(国内流通名): ザガーロ®カプセル(GSK社)、デュタステリドカプセル「○○」などジェネリック。
有効成分名: デュタステリド。
使用目的・効能: 男性型脱毛症(AGA)の進行抑制・発毛効果。作用機序はフィナステリドと類似ですが、デュタステリドは5α還元酵素のI型・II型両方を阻害するためDHT産生をより強力に抑制しますsakurahifu.com。その結果、フィナステリドで効果不十分な難治性AGAにも高い有効率を示します。臨床試験でもフィナステリド1mgより有意に発毛効果が高かったとの報告があります。適応は男性AGAのみです。前頭部などI型酵素優位部位の脱毛にも効果が期待でき、フィナステリドの次の選択肢として位置付けられます。
供給形態: 内服薬(カプセル)。0.5mgカプセルを1日1回服用します。効果発現までの経過や使用方法はフィナステリドと同様です。
おおよその販売価格(仕入価格): 先発品ザガーロは1箱30カプセルで医療機関仕入約7,000円前後と推定されます。2020年以降ジェネリックが出て価格は低下傾向です。患者への自費価格は1ヶ月分8,000~12,000円程度が相場です(ジェネリック利用で月5,000~7,000円程度の設定もあります)。
国内承認の有無: 承認薬。2015年9月にAGA治療薬として製造販売承認を取得し、2016年6月発売されましたagaskin.netsakurahifu.com。国内で正式にAGA適応を持つ薬剤であり、フィナステリドに続く第二の標準治療薬です。女性禁忌・妊婦禁忌も同様で、保険外処方ですが広告掲示可能です。
その他: デュタステリドは元々前立腺肥大症治療薬(アボルブ®)として承認されていた経緯があり、全身のDHTを約90%以上抑制する作用がありますkonishi-hifuka.jp。AGA毛包でのDHTもフィナより強力に減少させるため、フィナステリド非応答例でも有効なケースがあります。ただその分、副作用(性欲減退・ED等)の発現率もやや高い傾向がありますd-clinicgroup.jp。脂溶性が高く頭皮にも移行しやすいとされます。副作用プロファイルは概ねフィナと同様ですが、まれに乳房痛・乳房肥大が報告されています。投与中止で多くは回復します。効果実感はフィナと同じく6ヶ月以降に現れ、1年で約80%が現状維持・改善とのデータがありますfuna-biyou.com。なお、フィナとデュタの併用は推奨されません(作用重複による副作用増加リスクのため)。デュタステリドはより強力なAGA治療薬として、フィナステリドで満足できない例に用いると高い効果を発揮しています。

ミノキシジル(外用ミノキシジル製剤)

商品名(国内流通名): リアップ®X5プラスローション(大正製薬)〈男性用5%液〉、リアップ®リジェンヌ〈女性用1%液〉、スカルプDメディカルミノキ5®(アンファー)など。医療用では「ロゲイン®」海外版を個人輸入使用する例も。
有効成分名: ミノキシジル。
使用目的・効能: 発毛促進・育毛を目的として男性型脱毛症(AGA)および女性のびまん性薄毛に使用されます。ミノキシジルは毛包に作用して休止期毛を成長期に移行させ、毛幹を太く長く成長させる働きがあります。血管拡張作用により毛根への血流を増やす効果もあると考えられます。その結果、軟毛化した髪が太くコシのある毛に改善し、発毛本数も増加します。特にAGAではフィナステリド等の内服と併用することで相乗効果が得られます。女性のびまん性脱毛でも有効性が証明されています。
供給形態: 外用薬(液剤・泡剤)。市販薬リアップX5は1日2回、頭皮に1回あたり1mLを塗布します(1本60mLで1ヶ月分)。液剤のほか発泡フォームタイプも海外ではあります。医療機関では海外版5%ローションや15%高濃度ローションを取り扱うこともあります(15%は未承認で要同意)。※近年、内服ミノキシジル少量投与(後述)が注目されていますが、本項は外用製剤についてです。
おおよその販売価格(仕入価格): リアップX5プラス(5% 60mL)は一般薬局で税込7,600円前後で販売されています。医療機関が仕入れる場合大きな差はなく、患者には市販同等価格で提供することが多いです。ジェネリックのスカルプDメディカルミノキ5は税込6,600円ほど。海外版ロゲイン5%は個人輸入で1本あたり2,000円台ですが、正規ルートではないためクリニックでは基本市販品を案内します。
国内承認の有無: 承認薬(一般用医薬品)。ミノキシジル外用5%製剤は男性AGA用として2005年に薬事承認され市販化、2017年には一般用医薬品に移行し薬局で購入可能です。女性用は1%までが承認市販されています。医療用医薬品としては国内では逆に存在せず、医師も市販品指導または個人輸入品を使用する形です。したがって承認はあるものの処方薬というよりOTC薬という立ち位置です。
その他: ミノキシジルは元々高血圧治療薬でしたが、多毛症副作用から発毛剤として開発されました。作用機序は完全には解明されていませんが、毛乳頭細胞の増殖因子産生を促進し発毛シグナルを高めること、頭皮の血管拡張で毛根への栄養供給を増すことなどが考えられます。その結果、軟毛だった毛が太く長く育つようになります。使用開始から1~2ヶ月は一時的に抜け毛が増える「初期脱毛」が起こることがありますが、その後新しい毛髪が生えてきます。半年~1年で目に見える改善が期待できます。副作用は外用では少ないですが、皮膚刺激(発赤・かゆみ・ふけ様のフケ)が起こる場合があります。その際は濃度や頻度を調整します。まれに経皮吸収で全身に作用し多毛(体毛が濃くなる)や低血圧・動悸が起こることがありますが頻度は低いです。注意点: 妊産婦への安全性は確立しておらず使用不可です。使用中止すれば数ヶ月で元の薄毛状態に戻るため、継続使用が前提です。患者にはその旨説明します。なお医療の現場ではミノキシジル内服(2.5~5mg/日程度の少量)を処方することもありますが、国内未承認かつ血圧低下などリスクもあるため慎重に判断します。総じてミノキシジル外用は男女問わず発毛治療の基本であり、フィナステリド系と並んでAGA治療の両輪となっています。

ミノキシジル内服(ミノタブ)【未承認】

商品名(国内流通名): 国内未承認。海外ではLoniten®錠(ミノキシジルタブレット各種)。日本では「ミノキシジル内服」や通称「ミノタブ」と呼ばれる。
有効成分名: ミノキシジル。
使用目的・効能: 外用で十分な効果が得られない重度のAGAに対し、より強力な発毛効果を期待して使われます。血流増大や成長因子増加作用が全身的に及ぶため、頭頂から前頭部まで広範な発毛を促す可能性があります。臨床的には外用では産毛止まりだった部分が内服で太毛化する例もあり、いわば最終手段的に用いられます。女性の重度薄毛にも有効とされます。
供給形態: 経口内服薬(錠剤)。日本では製造販売承認が無いため、医師が海外から原薬や錠剤を輸入し処方します。用量は1日2.5mg~5mg程度の低用量から開始し、効果に応じて漸増します(海外の高血圧適応量は10~40mgと桁違いに多い)。内服にあたり定期的に血圧や心電図、血液検査で安全チェックを行うクリニックもあります。
おおよその販売価格(仕入価格): 原薬自体は安価で、1錠あたり数十円以下です。クリニックでは調剤や管理料込みで1ヶ月分5,000~10,000円程度で提供されることが多いです。市販や保険が無い分、価格設定は医療機関に委ねられます。
国内承認の有無: 未承認薬。日本で薄毛治療目的のミノキシジル内服は承認されておらず、使用は完全に医師の裁量ですtokyoderm.com。厚労省もガイドラインで安全性未確立としています。ただ実際には多くのAGA専門クリニックで処方実績があります。未承認であること、リスクが未知な部分があることを十分説明した上で使用します。
その他: 内服ミノキシジルは外用に比べ発毛効果が高い反面、副作用リスクも高まります。主な副作用は多毛(体毛・眉毛・産毛が濃くなる)が高頻度で、他にむくみ、体重増加、血圧低下、頻脈、心悸亢進などがあります。ごく稀に重篤な心包液貯留や心不全の報告もあります。また休薬すると急激に脱毛が進むケースもあるため中止の際は注意が必要です。女性では少量でも多毛や月経不順が起こりやすく、妊娠希望者には禁忌です。これらのリスクゆえ、筆者のクリニックではまず外用・フィナ併用で様子を見て、どうしても必要な場合に限り内服ミノキシジルを提案しています。患者には効果とリスクを天秤にかけて納得いただいた上で処方しています。内服ミノキシジルは確かに強力な発毛を促すことが多いですが、安全性の面から現時点では慎重な取り扱いが求められる治療です。

その他の育毛注射・成長因子療法

対象薬剤: 自己PRP療法、HARG療法用カクテル(グロースファクター製剤)、サイトカインリッチ製剤(育毛メソカクテル)など。医薬品というより施術材料に分類されます。
使用目的・効能: 停滞した毛包を活性化し発毛を促すため、頭皮に成長因子や栄養を直接与える治療です。例としてHARG療法では、細胞から抽出した成長因子複合液(FGF, KGF等含有)を頭皮に注射し、休止期の毛包に刺激を与えて発毛を誘導します。PRP療法では患者自身の血小板血漿に含まれる成長因子を注入します。これらはフィナステリド等とは作用経路が異なり、併用で相乗効果を狙います。毛が細くなってしまった部位の太毛化生え際など薬で効果出にくい部分の補強に用いられます。
供給形態: 局所注射。クリニックによりメソガンや細針で頭皮浅層に直接少量ずつ薬液を注入します。施術頻度は月1回を数回繰り返すケースが多いです。PRPは採血→濃縮→注射を同日に行います。HARG用カクテルは再生医療等製品に該当しない範囲のため、研究試薬扱いで提供されます。
おおよその販売価格(仕入価格): PRPはキット代など含め1回あたり数万円(5~10万円)程度原価がかかります。HARGカクテルは1回あたり数万円。患者料金はPRPで1回10~20万円、HARG等カクテルで1回5~15万円程度と高額です。複数回コース総額で50~100万円近くになることもあります。
国内承認の有無: 未承認扱い。PRPは患者自己血由来で医薬品ではありませんが、再生医療新法上「再生医療等」に分類され計画届が必要です。成長因子カクテル製剤もすべて未承認(研究用試薬)であり、使用には予め患者への説明・同意取得が義務付けられますbiyougeka.comonishiskinclinic.com
その他: これら育毛注射は最先端治療として登場し、一部では劇的効果をうたっていますが、エビデンスは限定的です。作用機序は成長因子(FGF-7, VEGF 等)が毛乳頭・毛母細胞を刺激し毛周期を成長期に誘導すること、人由来のサイトカインが毛包周囲の炎症を鎮め環境を整えることなどです。副作用は注射時の疼痛・出血、まれに腫れや湿疹程度ですが、未知のリスク(長期安全性や肝炎等感染症リスクなど)は否定できませんtkc110.jptokyoisea.com。特に他者由来の培養上清などを点滴・注射する場合、安全性確認が不十分なケースも指摘されていますallerganbeauty.jpallerganbeauty.jp。医師側も最新知見をアップデートしつつ慎重に提供しています。効果については個人差が大きく、「明らかに毛量が増えた」例もあれば「ほとんど変化ない」例もあります。費用対効果の点から標準治療(内服・外用)をまず行い、それでも不足する場合の補助療法として位置付けるのが現実的です。

脂肪溶解・痩身目的の薬剤

脂肪溶解注射(ホスファチジルコリン+デオキシコール酸製剤 等)

商品名(国内流通名): 一般名で「脂肪溶解注射」「メソセラピー注射」など。製剤例: BNLS neo/アルティメット(韓国製ハーブ由来溶解注射)、カベリン(Kabelline®, 韓国製デオキシコール酸注射)など。米国ではKybella®(デオキシコール酸注射液)が有名(未承認輸入)。
有効成分名: 製剤により異なります。古典的メソセラピーはホスファチジルコリン(PPC)+デオキシコール酸(DC)、BNLSは植物抽出エキス+わずかなデオキシコール酸、Kabelline等は純粋なデオキシコール酸。その他L-カルニチンやカフェイン、抽出ハーブ類を含む場合もあります。
使用目的・効能: 皮下脂肪を減らし部分痩せを図るために使用されます。注射した部位の脂肪細胞を破壊・乳化し、体内の代謝で徐々に処理させることで脂肪厚みを薄くします。顔の頬やアゴ下の脂肪除去(小顔目的)、体幹部の部分痩身(腹部・太もものサイズダウン)に用いられます。メスを使わず脂肪を減らせる手軽な痩身法として人気です。BNLSアルティメットなど新世代製剤はむくみ改善や肌の引き締め効果もアピールされていますs-b-c.net。効果は緩やかで数回の施術で徐々にサイズダウンしていきます。
供給形態: 注射剤(溶液)を脂肪層に多点注射します。施術では極細針で皮下脂肪に薬液を0.1~0.2ccずつ網目状に注入していきます。1回の注射量は部位によりますが顔で1~5cc程度、体幹部で10~30cc程度です。治療間隔は1~2週間おきに3~5回程度繰り返すのが一般的ですs-b-c.nets-b-c.net。施術後は軽度の腫れが数日続くことがありますが、従来型の薬剤よりBNLS系は腫れが少ない傾向ですs-b-c.net
おおよその販売価格(仕入価格): 脂肪溶解注射の原液製剤は1本あたり数千円
です。例えばBNLS neoは1本5ccでクリニック仕入5,000円前後と推測されます。患者料金は1ccあたり5,000~10,000円程度が多く、顔の小範囲なら1回2~3万円、腹部なら1回5~10万円程度になります。BNLSアルティメットなどは高価で1ccあたり1万円以上の設定もあります。
国内承認の有無: 未承認薬。脂肪溶解注射製剤はいずれも国内未承認です。米国FDA承認のKybella(デオキシコール酸)はありますが日本では認可されていません。従って使用する場合は医師が個人輸入し、自費医療として提供します。広告には「未承認である旨・安全性未確立」を記載する義務があります。湘南美容外科など大手でもBNLS等を使用する際はその旨明示していますs-b-c.nets-b-c.net
その他: 脂肪溶解注射の主要成分であるデオキシコール酸は胆汁酸の一種で、脂肪細胞膜を破壊し脂肪を溶解しますs-b-c.net。Kybellaはこれを利用した薬剤です。PPC(フォスファチジルコリン)は大豆由来で細胞膜を乳化するとされますが、デオキシコール酸の界面活性作用が主要と考えられます。BNLSは従来の溶解注射の腫れや痛みを軽減するため、植物エキス主体セイヨウトチノキ、セイヨウシロヤナギ、アーティチョークなど)でリンパ循環促進・引き締め作用を持たせ、デオキシコール酸を少量含む処方になっていますfacebook.comzhihu.com。さらにBNLSアルティメットはデオキシコール酸を強化し効果アップした製剤ですs-b-c.net効果実感としては、小顔目的の顔部分では高評価が多く、数回でフェイスラインがすっきりする例があります。一方、腹部太もも等では効果がマイルドで、外科的脂肪吸引には及ばないとの声もあります。副作用は注射部の腫れ・発赤・圧痛が一時的に出る程度ですが、成分によってはアレルギー反応の可能性もゼロではありません。過去に大豆アレルギーのある人では旧来PPC製剤は注意でした。BNLSでは大きな副作用報告は今のところなく、ダウンタイムの少なさがメリットですs-b-c.nets-b-c.net。総じて、脂肪溶解注射は手軽な部分痩せ法として定着しつつありますが、劇的変化を求める場合は外科的手段が必要であること、未承認ゆえのエビデンス限界があることを患者に説明した上で施術しています。

L-カルニチン注射・その他代謝系サポート

商品名: 特定の薬剤名ではなく、「脂肪燃焼注射」「カルニチン注射」などの名称で提供。
有効成分名: レボカルニチン(左回りカルニチン)ほかビタミンB群(B5など)併用例あり。
使用目的・効能: 脂肪の代謝を促進して痩身をサポートする目的。カルニチンは脂肪酸をミトコンドリアに運び燃焼させるのを助ける物質で、減量中の体脂肪燃焼効率を上げる狙いがあります。直接脂肪を溶かすわけではありませんが、ダイエット点滴の一環として新陳代謝を高めたり疲労を軽減する効果が期待されています。局所痩身というより全身の脂肪燃焼を後押しする位置付けです。
供給形態: 静脈注射・点滴。L-カルニチン製剤(例えば「エルカルチン®FF注射液」1000mg/5mLなど承認薬あり)を静注します。脂肪燃焼点滴メニューでは他のビタミン(B1, B6, B12, ビタミンC等)と一緒に点滴されることもあります。頻度は週1回程度。
おおよその販売価格: カルニチン注射薬は1アンプルあたり数百円です。自費診療では1回あたり2,000~5,000円ほどで提供されます(単独の場合)。総合ビタミン点滴に含める場合はメニュー価格設定次第です。
国内承認の有無: 承認薬(適応外使用)。エルカルチン®注射液は本来、カルニチン欠乏症(透析患者など)治療薬として承認されています。美容目的で健常者に用いるのは適応外ですが、医師裁量で使用可能です。
その他: カルニチン注射自体の痩身効果エビデンスは限定的ですが、ダイエット中の人が併用すると倦怠感軽減やトレーニング時の脂肪燃焼促進を体感するケースがあります。副作用はほとんどなく安全とされています。ただ「打つだけで痩せる」ものではないため、患者には食事運動管理あっての補助であることを説明します。他にαリポ酸点滴(脂肪酸代謝補助・抗酸化)やメチオニン・コリン配合の脂肪肝改善注射(MIC注射)など、代謝アップを目的とした注射療法も美容領域で用いられています。これらはいずれも根本は生活習慣改善があって初めて効果が発揮されるもので、魔法の痩身薬剤ではない点に留意が必要です。

肌再生・再生医療関連の薬剤

多血小板血漿(PRP)療法

商品名: いわゆるPRP皮膚再生療法。商品名ではありませんが、「セルリバイブ®」「Angel PRP®」などクリニック独自名称がつく場合も。
有効成分名: 患者自身の多血小板血漿中の成長因子群(PDGF, TGF-β, EGF等)。
使用目的・効能: 自己組織の再生を促し、肌質改善や若返りを図ります。シワ・くぼみへの注入治療として、ヒアルロン酸の代わりにPRPを注入するとコラーゲン生成が誘導されて肌のハリが回復しますtkc110.jp。目の下のちりめんジワやクマ、小じわ、ニキビ痕の凹み改善などに適し、自然な若返り効果が期待できます。効果は徐々に現れ、数か月持続します。患者自身の血液由来なのでアレルギーリスクがなくナチュラル志向の再生医療として人気です。
供給形態: 注射施術。患者から約10~20mL採血し、専用キットで遠心分離して高濃度の血小板血漿(PRP)を抽出します。それを細い針でシワの下や皮膚真皮内に細かく注射します。その後は安静を保ち、内出血が引けば日常生活に復帰できます。効果判定は1~3ヶ月後に行い、必要なら追加治療します。
おおよその販売価格(仕入価格): 1回あたりのコストは遠心キット代(数万円)+その他消耗品です。患者料金は1部位10~20万円程度と高価ですが、近年はキット価格低下もあり10万円以下で提供するクリニックも増えています。例: 目の下PRP両側10ccで15万円など。
国内承認の有無: 未承認(再生医療分類2号)。PRPは患者自身の血液を用いるため医薬品ではありませんが、「細胞加工を伴う自由診療再生医療」として法律上の規制があります。厚労省に計画を提出し認可を得た医療機関のみ実施可能ですallerganbeauty.jp。使用デバイス(キット)は医療機器として一部承認品あり。
その他: PRPには血小板から放出される成長因子が豊富に含まれ、これが線維芽細胞を刺激してコラーゲン・エラスチン産生を促進します。そのため皮膚の若返り傷跡の改善に有効と考えられます。実際、PRP注入後に数週間かけて肌の張りが増し、小ジワが目立たなくなったりクマが薄くなるケースがあります。効果の個人差は大きく、年齢や肌状態によっては劇的改善は難しいこともあります。副作用は自己血由来のためアレルギーはありませんが、注射による腫れ・内出血は起こりえます。感染のリスクも極めて低いです。再生医療としては比較的安全で簡便ですが、科学的エビデンスはまだ確立途上ですallerganbeauty.jp。患者には「自分の血を使った組織メンテナンス」という趣旨を理解いただき、過度な期待を避けるよう説明します。昨今ではPRPをさらに加工し血小板由来因子を強化したPRF療法(フィブリン混合ゲル)なども登場していますが、いずれも基礎データ集積中であり慎重に取り入れています。

幹細胞培養上清(ステムサップ® 等)

商品名(国内流通名): StemSup®(ステムサップ)などヒト幹細胞培養上清液。クリニックでは単に「幹細胞上清点滴」と案内。研究用試薬扱い。
有効成分名: ヒト脂肪由来幹細胞培養上清液(中に各種サイトカイン・エクソソーム・成長因子を豊富に含有)tkc110.jpbiyougeka.com
使用目的・効能: 全身のアンチエイジングや皮膚の若返り、毛髪再生など広範な効果が期待されていますbiyougeka.com。上清中のサイトカインやエクソソームが組織の修復・再生を促進し、肌ではハリ・艶改善、毛髪では発毛促進などの作用があるとされていますbiyougeka.com。また点滴で全身投与すると疲労回復、関節痛緩和など全身状態の改善報告もありますonishiskinclinic.com。いわば再生医療の最先端を行く若返り療法として、一部富裕層にも利用されています。
供給形態: 点滴静注または局所注射。ステムサップは点滴100mLほどに調整し、1時間程度かけて静注しますbiyougeka.com。また肌や頭皮の狙った部位に少量ずつ注射する方法もあります。施術頻度は月1回ペースを数回行い、その後は半年~1年毎のメンテとしている施設が多いです。保冷保存が必要で取り扱いは慎重に行います。
おおよその販売価格(仕入価格): 非常に高価です。1回分の上清液コストが数十万円に及びます。患者価格も点滴1回あたり50~100万円と桁違いに高額です(提供各社の価格設定による)。部位注射少量ならもう少し安価設定もありますが、いずれにせよ高コストです。
国内承認の有無: 未承認(再生医療等製品に準ずる扱い)。ヒト幹細胞培養上清を治療に用いること自体は未承認医療であり、再生医療等安全確保法の下で個別に計画提出・委員会審査が必要ですbiyougeka.comallerganbeauty.jp。製剤は研究試薬として流通し、医薬品としての承認はありません。
その他: 幹細胞培養上清には約数百種類のサイトカイン・成長因子が含まれますtkc110.jp。それらが血管新生を促し、線維芽細胞を活性化し、抗炎症作用を示すことで、肌のターンオーバー正常化・コラーゲン増生・毛乳頭刺激などマルチな効果を発揮すると考えられていますtkc110.jpbiyougeka.com。実際、ヒトへの臨床報告でも肌の潤い・弾力向上、毛髪のコシ改善等が示唆されていますnoda-cl.com。しかし安全面では未知の部分もあり、中長期の発がんリスクや免疫反応等は十分に検証されていませんallerganbeauty.jp。一応、幹細胞そのものは含まず上清のみなので拒絶や腫瘍形成リスクは低いと考えられますが、長期的フォローデータが不足していますallerganbeauty.jp。副作用としては点滴後に一時的倦怠感や発熱様症状が出る例がありますが大事には至っていません。費用さえ許せば夢の若返り治療のようにも思えますが、医師としては現時点では研究的な治療であることを強調し、慎重に扱っていますallerganbeauty.jp。患者にも十分説明の上、希望者に限り実施している状況です。今後エビデンスの蓄積やコスト低減が進めば、再生医療の主流の一つになる可能性を秘めています。

基本情報の出典

beauty.kasuga-cl.jpbeauty.kasuga-cl.jpbeauty.kasuga-cl.jphifuka-eigo.combeauty.kasuga-cl.jpbeauty.kasuga-cl.jpyoshiki-clinic.comyoshiki-clinic.comsakurahifu.comagaskin.netfuna-biyou.comfuna-biyou.coms-b-c.nets-b-c.nettkc110.jpallerganbeauty.jp

C03.美容医療機器を用いた主要施術ガイドV1.0

D00.機器を使わない美容皮膚科学の現況と動向(日本と国際比較)V1.0

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  1. 01.再生医療等安全性確保法の基礎と実務運用V1.4.1

    2025.07.29
  2. 1.2. 実務提供計画書の作成

    2025.07.18
  3. 2.3. 実際の使用法とその応用に向けた基礎と実践

    2025.07.19
  4. PRP療法の歴史と皮膚再生医療への応用(1)

    2025.07.16
  5. 2.4. 合併症・副作用と対応策

    2025.07.19
  6. 03.美容皮膚科における肌・顔の解剖学と施術テクニック V1.5.1

    2025.07.29

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