― ダーマペン・PRP手打ち注射の痛みに関するご質問への回答 ―
PRP(多血小板血漿)を用いた皮膚治療やダーマペン施術において、全身麻酔の使用は推奨されません。その理由は、以下の通りです。
❌ 全身麻酔が推奨されない理由
全身麻酔により筋肉が弛緩し、顔面の表情筋や皮膚下の張りが失われると、以下のようなリスクが生じます:
- ✅ 皮膚の状態(たるみ・シワ・張り)を正確に評価できなくなる
- ✅ わずかな左右差やバランスの乱れが把握できず、仕上がりに悪影響を及ぼす
- ✅ 状態の微調整が困難となり、顔全体の印象に不自然さが残る可能性
美容治療では、自然な表情筋の緊張状態を前提に施術の深さや角度を調整する必要があるため、弛緩した状態での施術は避けるべきです。
🔍 使用される麻酔の種類(美容医療領域)
麻酔の種類 | 方法 | 効果 | 適応 | リスク・注意点 |
---|---|---|---|---|
表面麻酔(外用麻酔クリーム) | 施術前に皮膚に塗布(30〜60分前) | 皮膚の痛みを軽減 | ダーマペン、浅い注射 | アレルギー反応・赤み・ヒリつき |
局所麻酔(浸潤麻酔) | 注射による局所ブロック | 注射部位の痛みをブロック | PRP手打ち注射(目の周囲など) | 内出血、腫れ、まれに神経障害 |
笑気麻酔(亜酸化窒素) | 鼻マスクから吸入 | リラックス効果・痛み軽減 | 緊張の強い方、軽度の鎮静が必要な場合 | 吐き気、ぼーっとする感覚(すぐ覚める) |
静脈麻酔(軽い鎮静) | 点滴から鎮静薬を注入 | 眠気・記憶消失・痛みの軽減 | 高度な処置、どうしても痛みに弱い方 | 呼吸抑制、医師による全身管理が必要 |
⚠️ 麻酔選択の基本的な考え方
- ✅ 痛みは最小限に抑えつつ、皮膚の状態を的確に把握できることが重要
- ✅ 全身麻酔は皮膚診断・施術精度を損なうため原則として行いません
- ✅ 表面麻酔や局所麻酔で十分な鎮痛が得られる設計になっています
- ✅ ご不安が強い方には、**笑気麻酔や軽度の鎮静(静脈麻酔)**を併用することも検討可能です
🛌 全身麻酔の基本的な説明
✅ 特徴
- 意識を完全に消失させる
- 全身の痛覚・反射を遮断
- 筋肉の緊張を緩める(筋弛緩)
- 人工呼吸器による呼吸管理が必要
患者は「眠っているような状態」になりますが、これは単なる睡眠ではなく、医薬品により中枢神経を一時的に制御された状態です。
💉 方法と流れ
- 導入(麻酔開始):
- 静脈から麻酔薬(例:プロポフォール)を注入、または吸入麻酔薬(例:セボフルラン)を吸わせます。
- 数十秒〜数分で意識を失います。
- 維持:
- 手術中は、麻酔薬を持続的に投与し続けて安定した無意識状態を維持。
- 同時に人工呼吸で酸素を供給します。
- 覚醒(麻酔からの回復):
- 麻酔薬の投与を止めると数分〜十数分で覚醒します。
- 回復室で呼吸や循環状態を観察します。
🧪 使用される薬剤
分類 | 代表薬 | 働き |
---|---|---|
静脈麻酔薬 | プロポフォール、チオペンタール | 意識を消失させる |
吸入麻酔薬 | セボフルラン、デスフルラン | 麻酔の維持に使用 |
鎮痛薬 | フェンタニル、レミフェンタニル | 痛みを抑える |
筋弛緩薬 | ロクロニウム、スキサメトニウム | 気管挿管や手術操作をしやすくする |
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