一般社団法人再生医療ネットワーク

【2.1 PRPの歴史と再生医療における位置づけ】

1. Q: PRPとはどのような医療技術ですか？
   A: 患者自身の血液から高濃度に濃縮された血小板を抽出し、治癒促進を目的に患部へ注入する再生医療技術。
2. Q: PRPの概念が初めて使われたのは何年代ですか？
   A: 1950年代（臨床応用は1980年代以降）。
3. Q: PRPが最初に応用された診療分野はどこですか？
   A: 心臓外科や創傷治療、口腔外科。
4. Q: 再生医療等安全性確保法上、PRPは通常どのリスク区分に分類されますか？
   A: 第三種再生医療等（比較的リスクが低い技術）。
5. Q: PRP中に含まれる主な成長因子を2つ挙げてください。
   A: PDGF（血小板由来成長因子）、TGF-β（トランスフォーミング成長因子）。

【2.2 PRPの効果・効能】

6. Q: PRPが促進する3つの主要な組織修復機構は？
   A: 細胞増殖、血管新生、コラーゲン産生。
7. Q: PRPの美容領域での代表的な効果を挙げてください。
   A: 小じわやたるみの改善、肌のハリやキメの改善。
8. Q: 毛髪再生におけるPRPの作用機序は何ですか？
   A: 毛包の休止期から成長期への移行促進と頭皮の血流改善。
9. Q: 慢性腱障害におけるPRPの有効性が高い理由は？
   A: 成長因子が変性腱の再構築や治癒を促進するため。
10. Q: PRPとPRFの主な違いは何ですか？
    A: PRPは液体状で注射向き、PRFは線維素ゲル状で貼付向き。

【2.3 実際の使用法とその応用】

11. Q: PRP調製時に使用する代表的な抗凝固剤は何ですか？
    A: ACD-A（クエン酸-ブドウ糖液）。
12. Q: PRPの濃度を高めるための遠心法は？
    A: 二段階遠心法（ソフトスピン＋ハードスピン）。
13. Q: 白血球を多く含むPRPを何と呼びますか？
    A: LR-PRP（Leukocyte-Rich PRP）。
14. Q: ピュアPRP（LP-PRP）はどのような治療に適していますか？
    A: 関節内注射や美容領域など、炎症を避けたい用途。
15. Q: PRPを活性化する代表的な薬剤を2つ挙げてください。
    A: 塩化カルシウム（CaCl₂）、トロンビン。
16. Q: 超音波ガイド下注射の主な利点は何ですか？
    A: 注射部位の正確性と安全性が向上すること。
17. Q: 日本で承認されているPRP調製キット名を1つ挙げてください。
    A: Condensia®（京セラ）やTriCeLL（ヤマト科学）など。
18. Q: PRP調製後はどれくらいの時間内に使用すべきですか？
    A: 原則として30分以内、遅くとも当日中に使用する。

【2.4 合併症・副作用と対応策】

19. Q: PRP注射後に最も頻繁にみられる副作用は？
    A: 注射部位の腫脹・疼痛・軽度出血（内出血）。
20. Q: 極めて稀だが報告されている重篤な合併症を1つ挙げてください。
    A: 顔面注射後の失明（血管塞栓による視神経障害）。
21. Q: 感染リスクを低下させるための最も重要な対策は？
    A: 滅菌器具の使用と無菌操作の徹底。
22. Q: PRPが未承認治療であることは患者に説明すべきか？
    A: はい。法的に説明と同意が必須とされている。
23. Q: インフォームドコンセントに必ず含めるべき項目を1つ挙げてください。
    A: 代替治療の提示、効果の個人差、同意の撤回可能性など。
24. Q: bFGF添加PRPによって起こり得る合併症は？
    A: 線維化によるしこり（肉芽腫・結節形成など）。

【2.5 臨床応用の拡大と今後の展望】

25. Q: 婦人科領域で注目されている新しいPRPの適応は？
    A: 卵巣機能不全や薄い子宮内膜の改善。
26. Q: 脳卒中後のPRP応用で期待されている作用は？
    A: 神経再生の促進と運動機能回復。
27. Q: ED（勃起不全）治療に対するPRPの作用は？
    A: 陰茎海綿体血流改善と組織修復。
28. Q: 現在、日本でPRP療法は保険診療に含まれますか？
    A: いいえ。自由診療（全額自己負担）として行われている。
29. Q: PRPの治療法が今後制度的に発展するための課題は？
    A: 標準化、エビデンス構築、保険適用に向けた臨床試験。
30. Q: PRPは再生医療分野でどのような位置づけにありますか？
    A: 比較的低リスクで導入しやすい再生医療のエントリーモデル。